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2012年8月14日 (火)

2.個性を活かすマーケティング入門 ④絶対に負けない戦略とコンセプト

「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」
~弱みを強みに転じる生き残り方~

2.個性を活かすマーケティング入門


④絶対に負けない戦略とコンセプト

どんな事業、製品・サービスをつくっていったらいいの?

以上のSWOT分析を行い、前提を整理した後に、何をやるべきかを考えます。実際に自分たちがどのような事業を行っていくのかということです。そのために、事業領域やコンセプトをまとめていく必要があります。

事業領域、コンセプトの作り方

自社の強み、弱み、機会、脅威を整理しそれをもとに、「事業領域」をまとめます。事業領域とは「事業ドメイン」ともいい、自社の行うべき事業のことをいいます。また、この事業領域を製品やブランド開発等の場合、「製品コンセプト」・「ブランドコンセプト」として置き換えても良いです。

事業領域 ターゲット・ニーズ・独自能力

事業領域・コンセプトは、「ターゲット、ニーズ、独自能力」といった軸で組み立てます。 強みやチャンスを活かし弱みやピンチを補う、自分だけが出来る組み合わせを見つけ出し、「勝てる個性」を具体的に強調していきます。

人にそれぞれ個性があるように、世界に一つの強い個性を持った事業・製品に仕立て上げることが出来ます。 そして最終的に一文にまとめます。

「~をターゲットに、~のニーズに対して、~を~で提供する」
という感じです。

この事業領域・コンセプトのまとめがうまく出来ると、お客さまをはじめ社内外の関係者、その他多くの人に「なるほど」と納得してもらえ、話は早く進み期待されることになります。
  
大切なのは、その取り組もうとする事業領域や製品コンセプトは、様々な外部環境や内部環境をもとにしたSWOT分析により、自社が取り組むべき最良の案と、多くの人が「なるほど」と納得し「腹に落ちる話」になっているかということです。
   
ターゲットの設定は具体的に


ターゲットを設定する際のポイントは、より具体的にすること。ターゲットを一般消費者として考えてみた場合、例えば「地球上の生物」をターゲットとするのか、「日本に住む人」にするのか、「東京都に住む女性」にするのか、「東京都港区に住む30代の金融機関に勤める料理が趣味の独身女性」とでは、ターゲット数の大きさや具体性という話では大違いで、事業活動効率もまったく違ってきます

そして、「より具体的なターゲット像を作る」ことです。つまりどういう人か、年齢、性別、住所、職業、収入、好きなブランド、よく読む雑誌、よく行く店、趣味等とことん具体的なプロフィールをイメージすることです。そうすると、製品やサービスを売る場所、伝える場所等の決定等、その後の戦略が容易に具体的に立てられます。逆にはっきりしていないと、「どのお店で売るべきか分からない」、「どの媒体で宣伝すべきか分からない」、「だれのための製品か分からない」と全て空振りの状態になってしまいます。

さて、簡単に実践で使える消費者ターゲット設定上の参考データの一つに「雑誌の発行部数」があります。雑誌は同じ趣味や趣向の人が買うもので、購入者は共通の目的や価値観を持っている集団といえます。ターゲット像もはっきり出来ます。そのターゲットはどんな服を着ているのか、どんなことに興味を持っているのか、あるライフスタイルを提案する雑誌はそんな「具体的な人物像」を表現してくれています。

雑誌発行部数の把握は各雑誌の部数が記載されている「マスコミ手帳」などの書籍がありますので活用するとよいでしょう。発行部数は実売数とは違いますが、集団の大小を大まかに把握でき参考になります。女性誌の「アンアン」が好きな人は何人、それでは「キャンキャン」が好きな人は何人という感じです。どっちが多いのか、ターゲットにするのはどちらのターゲット像の集団が投資効率がよいか、などを把握できます。

「思いつき」、「思い込み」、ではなく「思いやり」で

ターゲットの持つ、ニーズの把握には「思いやり」が必要です。デザイナーの川崎和男さんのユニバーサルデザインに関する本の中に、「思いつき、思い込みではなく、思いやり」という言葉がありました。商品や事業のコンセプトを考える際に、とかく思いつきであったり、自分の思い込みであったりする場合があります。それではうまくいきません。

そうではなく、使う人のことをよく考えて、思いやりをもって商品やサービス、事業を考えていくべき、と言うことです。現場100回、使う人のことを、思いやりをもってとことん考えて、ニーズをあぶりだしていくことが重要となります。より具体的に、細部の細部までこだわって

コンサルティング会社時代の上司にそういったニーズの把握をとことん行っている戸辺さんという方がいました。ある小売チェーンのレジやPOSシステムの開発コンサルティングのプロジェクトで、店舗の人の動きを一日中観察していました。いろいろな人にインタビューやアンケートも行いましたが、最後は必ず自分の目で事実を確認し、どこに潜在的なニーズがあるのかを探していました。こういった使う人の気持ちに成代われるほどの「思いやり」が大切であると思います。

また、それぞれがこんなお店に置いてもらいたい、こんな雑誌の取り上げてもらいたい、こんなデザインが好き、こんなネーミングが好き、という意見も良いことです。しかしターゲットとするお客様のことを考えず、ただそれぞれの好みだけで進めてしまったら商品ではなくアート作品のようになってしまいます。

あくまでターゲットとなるお客様の立場に立って、思いやりをもって取り組んでいくことが必要です。  
   
他に絶対真似できないか

「独自能力」とは、設定したターゲットやその抱えるニーズに対して、自らにしか解決できない方法での価値の提供となります。同じようなことが、他でも出来てしまえば、価格競争や熾烈な販売・宣伝競争などの消耗戦に巻き込まれてしまいます。せっかくいいアイデアのものが出来ても、すぐ同じ様なものが他でも出来るようであれば、すぐ生産コストの安いところに仕事を奪われてしまいます。

絶対に他に真似できないかということは、突き詰めれば「個性の追求」といえます。新規参入が多く、差別化の難しいファッションや化粧品のブランドで、個人名や地名が多いのは、やはり個性を出すという点で、個人名や地名が最も真似されないものといえるからではないでしょうか。シャネル、エスティーローダー、ロクシタンなどなど。
そういった意味で、一人の人間と同じような個性を持つ商品やサービス、事業を考えていく必要があります。

自分にしかできないこと、その場所でしか出来ないこと、それは何かを自問自答していくことが大切となります。人の個性もそうですが、それぞれに大きな違いはありません。同じ人間ですが、もって生まれた性格が違い、人種が違い、生まれた場所が違い、話す言葉が違い、育った環境が違い、過ごした場所が違い、見た・聞いた・話したことが違い、という少しずつの違いが人の個性を形成します。少しずつの事象を編集して、自分にしか出来ないことを明らかにしていく。そのような「己を知る」というアプローチが必要となります。

それができてこそ、ユニークかつ競争力のある世界にオンリーワンの製品・サービスになりうるのです。

セルザチャレンジでお手伝いした事例として、障がい者の手による製品ではないですが、社会保障もない発展途上にある最貧国バングラデシュとネパールの社会的に弱い立場にある人たちによるブランドがあります。
  
これは様々な理由から貧困状態となりやむなく売春婦等にならざるを得なかった母親たちが、子供と共に生きていくための仕事づくりとしての石けんブランドです。そういった彼女たちを支援するブランドをストレートに表現する、「She(彼女)」というブランド名にしました。

どこでも家庭でも作れる石けんという商材ですが、その地域でしか採れない原料、地名によるネーミング、メッセージ、デザインなど絶対に他では真似できないような独自性の高い製品に仕立てています。個性を追求すれば、普遍的な表現方法であってもユニークな世界にひとつのアウトプットができるのです。
   She_packages

フルオリジナルなんてない

独自性を追求する上で、新規事業や新製品・サービスもそうですが、今までに世の中に存在しなかったまったく「ゼロからの新発明」などはあまりありません。多くは今まであったものの「改良品」になります。またはそれぞれにあったものの組み合わせなどです。

あのビートルズもアフリカ系の人の音楽のリズム&ブルースやロック&ロールのコピーから始まりました。逆にビートルズに影響されたミュージシャンや曲もたくさんあります。すべてがフルオリジナルな音楽は少ないと思います。 このコラムも、様々な先人のオリジナルを自分の中で「再編集」してアウトプットしているのです。今まで人から教えていただいたことや読んできた本、体験したことがベースになっています。それを自分なりに編集してお伝えしているのです。

あまりゼロから新しいものや企画を作り出そうと思うとプレッシャーでなかなかアイデアが出ないものです。もう最初からまったく新しいものはないと割り切ってしまっても良いと思います。 特に日本人は、昔から外国からきたものの改善や改良が得意。今あるもので今までに足りなかったことを埋めるような事業や製品・サービスを考えていくことがうまくいく秘訣といえるかもしれませんね。
   
弱みを強みに転じる

実際に社会的弱者が関与する事業は、弱みが多いことが現実です。何から何まで無い無いづくしです。しかし、挑戦していかなければなりません。そのためには発想の転換です。

一般的に弱みと思われるところを強みに変えてしまう
のです。「開き直り戦略」ともいえるでしょうか。

何もないならないことを売りにする事業を模索する、売り先の小売店がないなら自分で販路をつくる、田舎で周りに人が少ないならばネット販売で他地域に売る、特産品がないなら初の特産品を発明する、働くことが困難な人がいるならばその人に合った仕事を開発する、、、様々なアイデアを生み出せばよいのです。

自分自身も3年ぐらい前にビジネス環境の激変から、一文無しに近い状態になりました。当然無いもの尽くしです。しかし家族を養い生きていくためには、売れるものを何でも売って仕事をしていかなければなりません。弱みや逆境を強みやチャンスに転じて必死でやらなければならないのです。
   
生きていく、生き残るためには、弱みをしっかりと冷静に把握したうえで、逆に強みに転じていくことが大切になります。そしてやればきっとできます。


つづく

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