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2012年8月14日 (火)

2.個性を活かすマーケティング入門 ⑦ドンピシャ価格を狙う

「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」
~弱みを強みに転じる生き残り方~

2.個性を活かすマーケティング入門


⑦ドンピシャ価格を狙う

価格(定価)はいくらにしたらいいの? 

製品やサービスの価格を考える際に一番効率的なのは、同じようなターゲットに対する同等製品・サービスで成功している「競合製品・サービスの価格研究」です。

ものを買ったり消費したりする人は、大体他の似た製品と比較して購入します。成功している競合製品は、その絶妙なバランスの中で消費者に受け入れられる「ドンピシャ価格」を提示している成功例なのです。

まったく新しい価値を持つ製品・サービスには比較できる同じようなものはありませんが、それでも同じ役割をはたすものとの比較は出来ます。店頭や、インターネットにて競合品の価格を調査してみましょう。  

また、悪い例として製品企画開発の際に、売値やコストをまったく考慮せず、出来た時には競合品に比べてはるかに高く誰も買わないような製品になってしまう場合があります。

「製品企画開発は価格ありき」です。 当初から、ターゲットに合わせた、競合製品を意識したターゲット価格を設定しての製品企画開発への取り組みが重要です。 安いものが良いとは限りません、コンセプト作りのときに設定したターゲットがもっとも喜ぶ価格です。

建値と掛け率

もし製品を作ってそれを自分の店やバザーなどで独自で販売するのではなく、小売店などに卸して販売していただく場合は、建値と掛け率というものがあります。

建値とはメーカーなどが、卸売業や小売業の利益を設定して希望小売価格(定価)を決め、取引先への販売につき決めた価格です。掛け率とは、その定価に対して何%で卸売り販売する、という%のことを言います。たとえば定価を1,000円のものとして、メーカーから小売店には「7掛けで卸す」というと、メーカーから700円で小売店に卸売り販売をするということになります。

生産にもお金がかかりますが、小売販売にもお金がかかります。都心部のお店であれば店舗の賃料も高いですし、店舗スタッフの給料、その他のプロモーションなどのコスト負担は重くなります。小売店にとってはいかにメーカーから安く仕入れるかで自社の利益が上がります。

一方、メーカーからしてみれば原料や開発、生産のために多くのお金をかけて製品をつくりますが、消費者が購入する最終小売価格より安い価格で小売店に提供しなければなりません。小売店に対して販売のための費用を払って自社製品を売っているということになります。メーカーが自社で作って販売までできれば利益率も向上しますが、小売店は作ることよりも売ることを頑張っていますので、売るということではメーカーより一枚上手ということもあります。

しかし、最近ではメーカーや小売りがそれぞれ利益を取りながら流通させるモデルは高コストとなり定価の高い、価格競争力の低い製品になるということから、アパレルのユニクロのような自分で作って自分で小売するSPA(製造小売業)という企業が成長しています。メーカーもアップルのように自社の店舗を出して販売することで利益率を高め販売力をつける取り組みや、小売業もオリジナル製品をつくることで利益率と高めスピードのある商品展開に取り組む動きがあります。

当然1社ですべてをこなすのでリスクも高くなりますが、自分の製品だけを自社コントロールのもと売りたいメーカーや、他の店では売っていない独自性のある商品を高い利益率で売りたい小売店は取り組みを強化しています。この場合には建値も掛け率もありません。そして授産施設もこういうSPAモデルへの取り組みは可能です。
  
掛け率の相場

自分のところでは作ることが得意で、全国の消費者等に販売するのは小売業にお願いしたい、と考えるならば小売店が希望する掛け率で卸売り販売しなくてはいけません。

さてその相場です。それは需給の関係、パワーバランスにあり、どうしても欲しいものは高い掛け率でも小売店に仕入れてもらえます。一方、どこにでもある製品が安い掛け率勝負になります。今回は、一般の民間企業である小売業に対して、買い取りの場合の標準を参考にご紹介しようと思います。
   
雑貨製品の場合基準は5~6掛け(定価の50~60%)、製品力は強ければ6~7掛けまで行ける可能性もあるが、実店舗を持つチェーン店などは6掛け台以上では利益が出ないので難しい。ネットショップは販売コストが低いので、実店舗より高い掛け率でも交渉可能。多くの数を買う大手小売りチェーンなどは4掛け台というところもある。
  
食品の場合基準は6~7掛け(定価の60~70%)、薄利多売が食品の特性なので雑貨よりも若干掛け率は高い。以前はより高かったが最近が下がり傾向。製品によっては同じく7~8掛けまで行ける可能性もある。たくさん売る小売りチェーンなどは5掛け以下というところもある。
  
以上を目安に考えて、個別に交渉してみてください。社会的意義のある取り組みであれば、より高い価格で仕入れてくれる可能性もあります。利益を出すということは、この価格交渉にもかかっているのです。
   
価格の設定方法

以上のように、小売店で販売していくためには、定価より安く卸していく必要があります。それがどうしても困難な場合、掛け率を考慮すると定価が異様に高くなり売れそうもないものになってしまう、ドンピシャ価格(定価)が無理などの時は、SPAではないですが作ったものを自力で小売するモデルを模索する必要があります。

また有名小売店舗で販売していくことをプロモーションの一環として割り切って、自社での直販で利益を回収するという組み合わせ方式もあります。
     
価格は製品を販売するうえで、非常に重要な要素です。最終ターゲットに自分の製品を買っていただきやすい方法で届けるために、最適な販売方法とそれを実現するための価格設定を考えていかなくてはなりません。

目標とする利益率の目安

その製品や事業でどのくらい儲けるのか?ですが、目標利益の設定は様々です。以前行ったアロマキャンドルのプロジェクトでは、働くメンバーの今の月収の3万円アップが目標だったので、月の生産・販売量と生産コストから逆算し、目標とする工賃がえられる定価と卸売り先小売店が得られる利益を考慮したバランスで価格を決めました。この時の目標利益は、つまり月収3万円×人数分でした。
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一般企業の場合の目標利益の設定は、地代家賃や人件費などの固定費と材料費などの変動費から目標利益を考えたりします。しかし授産施設は、その生産活動による経費として地代家賃や職員の人件費は含まず、材料費のみとなったりするので、少し特殊な設定が必要です。とはいっても、ある程度の利益目標は必要と思います。その場合、一般企業での利益率を基準にすべきと思います。

粗利という言葉があります。これは、売上げから仕入れ費用を引いた利益です。そして粗利率とは、粗利額を売上額で割った%のことを言います。たとえば、500円で仕入れたものを1,000円で売ったら粗利は500円、粗利率は50%です。

目安としては、施設で材料を仕入れて製品をつくり販売する事業では、小売店への卸売り販売の場合は粗利率30~40%以上自ら消費者に直販する場合は粗利率50~60%以上、を目標にしてみましょう。

他の誰かが作った商品を仕入れてそのまま販売する場合は粗利率20%以上です。

本当にざっくりとした目安ですが、一般企業ではこれくらいの利益率で取り組んでいるところが多いです。うまくいっている会社は、さらにこれらの利益率は高くなっています。ビジネスをやるなら、以上のような利益を上げていく事業を目指してみてください。
    
そのために、ターゲットが喜ぶドンピシャの定価卸売販売の場合は取引先の利益や送料も考えた価格設定に、直販の場合は販促費、送料や売掛金回収などの諸経費のコストも考慮した利益設定を考えながら、製品を開発していくことが大切となるのです。


つづく

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